ヨーギニ・ダシャー


ヨーギニ・ダシャーは、惑星ダシャーの一つですが、ヴィムショタリ・ダシャーと違って、36年周期のダシャーです。ですから、一生の間にまた似た様な運命の時期が巡ってくることになります。

 

月期1年間太陽期2年間木星期3年間火星期4年間水星期5年間土星期6年間金星期7年間ラーフ期8年間と巡って、また月期1年間に戻ります。ヴィムショタリ・ダシャーの時期の良し悪しは、その惑星が機能的に吉星か、凶星かによって大きくは決まりますが、ヨーギニ・ダシャーの場合には、その惑星の生来的な吉凶が優先するので、生来的に吉星のダシャーは良い時期、生来的に凶星のダシャーは悪い時期という風になります。

 

つまり、

 月期   1年間 吉の時期

 太陽期  2年間 凶の時期

 木星期  3年間 吉の時期

 火星期  4年間 凶の時期

 水星期  5年間 吉の時期

 土星期  6年間 凶の時期

 金星期  7年間 吉の時期

 ラーフ期 8年間 凶の時期

と言うことになります。

 

ラーフ期が終わって月期が始まる時は、マハー・ダシャーの切り替わりというだけでなく、36年のサイクルが終わって新しく始まると言うことになるので、人生の大きな切り替わりの時期となります。ラーフの暴走エネルギーがなくなって、内面に向かいやすくなると言う変化になります。

 

ラーフ


ラーフとケートゥは、月の軌道と太陽の軌道の交点で、西洋占星術ではラーフをドラゴン・ヘッド、ケートゥはドラゴン・テイルと呼ばれているものです。交点ですので、実際に物質的な惑星があるわけではありません(虚星)が、無視できない作用をするので、インド占星術では、太陽・月・水星・金星・火星・木星・土星という7惑星に追加して、ラーフ・ケートゥを惑星と同様に用いています。7+2=9で9惑星(ナヴァ・グラハ)を使っていきます。

ラーフとケートゥは物質的な実体を伴わない(虚星)感受点とも呼ばれるものなので、在住する星座やコンビネーションを形成する惑星の性質をストレートに受けると言う特徴を持っています。インド占星術では凶星として分類されますが、良いハウスに在住したり、吉星(特に、水星や木星)の星座に在住したり、吉星の影響を強く受けたりすると機能的には吉星として働くこともあります。

ラーフもケートゥも、非伝統的な性質を与える惑星と考えられていますが、それは、ラーフとケートゥが他の惑星とは逆の方向に回っている惑星だからかもしれません。ラーフは、飽くことなき現世的欲望、つまり煩悩を表します。どちらかというと、物質主義・快楽主義に傾く方向性を持っています。無知・怠惰という意味もあります。外国人やアウトカーストと言う意味も持っています。

外向きに活動するパワーを与える惑星なので、ラーフの時期には、外向きの活動力が強くなったりします。

 

惑星の象意


 

 

ホロスコープの出生図において表されるものは、その人が生まれた瞬間の天体がどう言う風な配置になっていたかを示しています。

どのような意味のある惑星が、どういう性質の星座に在住して、それは何室で、どういう意味のあるハウスなのかと言うことで、その人の特徴を読み解いて行きます。

それぞれの惑星は、吉星と凶星に分類されます(惑星の生来的吉凶参照)。

各惑星の主な象意(意味)を表にしてありますので、参考にされてください。

惑星の生来的吉凶


惑星には、良い働きをすると言う意味での吉星、悪い働きをすると言う意味での凶星という分類があります。これを惑星の吉凶と言いますが、惑星の吉凶には、生来的吉凶と機能的吉凶という2つの分類があります。

インド占星術では、木星と金星は強い生来的吉星、水星と月は弱い生来的吉星に分類します。また、火星と土星は強い生来的凶星、太陽は弱い生来的凶星に分類します。また、太陽の軌道と月の軌道の交点を表すラーフとケートゥは、インド占星術では、凶星として分類されます。ただし、ケートゥはスピリチュアル占星術では吉星と考えることもあります。

インド占星術では、太陽とラーフは凶星として扱いますが、西洋占星術では太陽とラーフを吉星として扱います。

太陽は社会的な私を表したり、エゴを表わす惑星ですが、西洋占星術では、自分のエゴを使って何かをなしていくことが、良いことだ考えるので吉星とされるのですが、インド占星術では、最終的にはエゴはなくしていく方が良いものだと考えるので凶星として分類するのです。

同じようにラーフも、飽くなき現世的な欲望を表す惑星ですが、そういう欲望を満たして成功するのが良いと言う文化では、ラーフは吉星扱いされますけれども、インドの文化では、そういうものは抑えていった方が良いものだと考えるので凶星として扱います。

またスピリチュアルな観点から言えば、惑星の吉凶というものは違った形で見えてきます。凶星は人生において、困難をもたらしますが、その困難を乗り越える過程で色々な経験をし、気づきを得ることによって人間は成長していきます。困難を乗り越えることなしに、精神性の成長はありません。土星は努力と忍耐を養いますし、火星はチャレンジ精神と集中力を養います。

一方、吉星である木星や金星を間違った使い方をすると、怠惰な傾向が出てきたり、世俗的な快楽を優先しすぎる傾向になることもあります。精神性を高めるためには、木星や金星が良い状態にある人は、その幸運に感謝して、自分から試練に向かっていく姿勢が必要になってきます。

精神性を重視した観点で、ホロスコープを読んでいくときには、惑星の吉凶にとらわれず、それがどのような気づきを促すのか、どのような意味があってその試練や困難が起こっているのかと言う視点で見ることも必要になってきます。精神性の修行が進んだ人にとっては、凶星が凶星ではなくなると言うことが起こってくるのです。

このように人間理解が深まっていく中で、インド占星術を通して、精神的な成長が促されていきます。それが、インド占星術が、解脱・覚りへ向かう修行の補助学問だと言われる理由の一つです。