ラージャ・ヨーガと中医学


ラージャ・ヨーガ

 

ラージャ・ヨーガというのは、巷で良くやられているポーズを取ることによって、関節の可動範囲を広げて、柔軟な身体を作って健康になると言うヨーガとは違った精妙な身体トレーニングです。 

 

インドのヨーギー、スワミ・ヴィヴェーカーナンダが解脱・覚りを目指すヨーガとして、カルマ・ヨーガ、バクティ・ヨーガ、ギャーナ・ヨーガ、ラージャ・ヨーガという4つの修行の道を示しているものの一つとしても位置づけられているものです。

英語で書かれたそれらの内容が、日本ヴェーダーンタ協会の『不滅の言葉』と言う雑誌に日本語に訳されて連載されていたそうですが、それが『カルマ・ヨーガ』『バクティ・ヨーガ』『ギャーナ・ヨーガ』『ラージャ・ヨーガ』と言う4冊の本になって解脱・覚りを目指す修行体系を解説する本として出版されています。

それらに書かれている完成による魂の解放を目指した修行の道の一つとしてラージャ・ヨーガというのは、位置づけられています。

 

10年間余り学んできていますが、ストレッチを伴う動きやポーズは取らずに、ただひたすらに座法を組むと言うヨーガです。

高度な瞑想の土台となる健康で精妙な身体を作っていくトレーニングで、一般的に行われているヨーガとは違って、武術で死ぬか生きるかと言う場面において磨かれてきた身体操作と共通の身体操作を行っていきます。

身体の中心(丹田)からの力を使って、正中線など身体の意識のラインを大事にしながら、身体を動かしていくことになります。

 

インド占星術的には、火星・土星はクシャトリア(インド武人階級)のコンビネーションと言われ、武術の才能やラージャ・ヨーガの才能を表します。

火星と土星が多くの分割図で絡んでいる程、その才能があるということにもなります。

 

引っ張ったり捻ったりして身体を柔軟にするのではなく、癒着しているところを切って分離していかないとできない動きを練習することによって、身体をより多くのパーツに分け、身体の中心に繋がり、身体構造を根本的に変化させ、コントロールしながら、合理的に身体を動かせるようになることを目的としているようです。

最終的には、きちんとした高度な瞑想のできる座法が組める身体になることを目指しています。

 

具体的には、足は、上半身の重さを受け止めた股関節から、膝の中心を通って、くるぶしの中心を通って、足の裏全体に重さが配分され、5本の指で床を捉えて立てるようになることを練習していきます。

座位では、左右の坐骨に、均等に体重を乗せて、その坐骨の上に、どこの筋肉でも引っ張ることなく、脱力していても身体を真っ直ぐにすることのできる身体になるため、切るべきところは切り、分けるべきところを分けて、正しく合理的に動くことのできる身体を育てていきます。

 

身体で微細で精妙な動きができるようになることによって、思考や意識からも粗雑さがなくなり、内面も細やかになり、高度な瞑想が可能になるということだと思います。

 

私自身は、前世において気功系の修行のカルマの方が強かったためか、なかなか身体が変わっていかずにその歩みはゆっくりでしたが、習い始めて5年を過ぎた頃より、少しずつラージャ・ヨーガの本質が解るようになってきました。

そして、インド占星術をより精妙に深いものにしていくためにも、ラージャ・ヨーガによる身体鍛錬を大事にしなければならないと思っています。 

 

ラージャ・ヨーガを続けていく中での気づきによって、インド占星術に向かい合う時の癖に気づいたりすることも多く、インド占星術をやっていくためにも、大変助けになるものだと感じています。

 

ジョーティシャと呼ばれるインド占星術は、本来はリシ(聖泉)たちが、隠棲生活の中で修めるべき必須科目の一つだった訳です。

リシは、自分の周りに集まってきた弟子たちが、どういう風に進んでいけば良いのかと言うことを見ていたとも思われます。

つまり、インド占星術は、解脱・覚りを目指す修行の道筋を読むために使われていたもので、本質的に、解脱・覚りを目指す修行の補助学問であったということで、今でも、そういう本質を持った占星術だということになります。

 

そのインド占星術のより精妙な部分に近づくためにも、ラージャ・ヨーガという身体鍛錬を大切にしていかなければと、思っています。

そういう意味で、インド占星術とラージャ・ヨーガというのは、私にとって切り離すことのできないものとなっています。

 

 

 

 

中医学

 

インド占星術だけでなく、中国医学も学んでいます。西洋医学は症状に対応することを中心とする医学であるのに対して、中国医学は、今苦しい症状を取ることはもちろん大切ですが、その原因となっている体質の偏りを根本から治すことも大事にしています。

 

体調について質問をしたり、舌を見たり、脈を取ったりすることで、身体の傾向を診て、その偏りを改善するためには、何を食べて何に気をつけて生活したら良いかを知ることができます。

 

長年病院薬剤師として医療に関わってきましたので、いずれはインド占星術で読み取った身体の弱点と、中国医学で見た体質とを組み合わせた助言ができるようになりたいと思っています。